書評

書評 大竹文雄・平井啓『医療現場の行動経済学』

医療経済学の本を読んでみたので、書評していこうと思います。

行動経済学は、ノーベル賞もつい最近とった熱い分野なので面白いですよ。

診療現場での会話

 

  • 「ここまでやってきたのだから」:サンクコストバイアス
  • 「まだ大丈夫」:現状維持バイアス
  • 「今決めたくない」:現在バイアス
  • 「がんは消えた」:利用可能性ヒューステリック

利用可能性ヒューステリックとは、正確な情報を利用せず、身近な情報や即座に思いつく知識をもとに意思決定をしてしまうこと。

まず行動経済学の概説

 

  • プロスペクト理論
  • 現在バイアス
  • 社会的選考
  • 限定合理性
  • ナッジ

 

プロスペクト理論とは、簡単に言うと同じことでも確実性や損失回避性を重視する理論です。

投資で使える心理学とは?!簡単に説明をつけながらあげるとこんな感じ。 ●プロスペクト理論 人間は利益より損失の方が苦痛を感じやすいとする理論。 利益獲得...

現在バイアスとは、目先のことに注目して、計画を先延ばしにしたりして、近眼的な行動を取ってしまうことです。

社会的選考とは、自分自身の物的・金銭的選考に加えて、他者の物的・金銭的利得への関心を持つ性質である。

限定合理性とは、意思決定に思考費用がかかることから、直感的に偏った決断を下してしまう。

ナッジとは、英語で「軽く肘でつつく」と言う意味で、行動経済学の意思決定の歪みをより良いものに変えていくというものである。

患者と家族の意思決定

がん治療の意思決定

 

  • バイアスを理解する
  • 情報を多くしすぎない
  • 意図的に医師はナッジを使ってみる

 

検診の受診率を上げるには

 

  • 損失フレームを使用する
  • フレーミングによるナッジが大切

 

予防が進まない理由

 

  • 予防行動が進まない理由としては、利用可能性ヒューステリックがある。
  • 同調効果もある
  • 判断基準が現在の状態。(病気になると分かれば治療する。)

 

利用可能性ヒューステリックとは、正確な情報を利用せず、身近な情報や即座に思いつく知識をもとに意思決定をしてしまうこと。

医療者の意思決定

 

急性期の意思決定

 

  • 急性期の治療法のデフォルトは、「蘇生行為を行う」である。患者の価値観を重視して、治療しない選択も考慮すべきである。
  • 急性期の蘇生行為に対する意思決定は、認知バイアスの影響を強く受ける。

 

医師の診療パターンの違い

 

  • 医師の判断は必ずしも合理的でない。
  • 女性医師の方が患者の死亡率が低い。(ガイドライン遵守するから)